こんにちは、プライムラグジュアリーウォッチLabo 編集部です。
タグホイヤーのオーバーホールを検討するとき、「正規料金はいくらなのか」「時計修理専門店ならどこまで安くなるのか」「料金が安くても部品や保証は大丈夫なのか」と迷いますよね。
とくにタグホイヤーは、外から見ただけでは料金区分を判断しにくいブランドです。
見た目がよく似たカレラでも、クオーツ、機械式3針、機械式クロノグラフ、自社製ムーブメント搭載モデルでは、オーバーホール料金が大きく異なります。
アクアレーサーも同様です。
クオーツモデルと自動巻きモデルでは整備内容が変わり、ダイバーズウォッチとして水中で使うなら、防水検査の内容まで確認しなければなりません。
「タグホイヤーのオーバーホール料金は5万円くらい」とひとまとめに考えてしまうと、実際の見積もりを見たときに驚くかもしれません。
反対に、正規サービスは高いと思い込んで専門修理店だけを探しても、自社製ムーブメントや専用外装部品の関係で受け付けてもらえないことがあります。
結論から言うと、純正部品やメーカー基準の修理を重視するなら正規サービス、費用と納期を抑えたい汎用ムーブメント搭載モデルなら専門修理店が有力です。
ただし、これは単純に「新しい時計は正規、古い時計は専門店」と分ける話ではありません。
搭載ムーブメント、必要な交換部品、保証期間、防水性能、今後の使い方を確認したうえで、時計ごとに依頼先を決めることが大切です。
この記事では、タグホイヤーの正規料金と専門店の料金を比較しながら、費用が増える理由、見積書の見方、モデルごとの依頼先までわかりやすく整理します。
この記事でわかること
- タグホイヤーの正規オーバーホール料金
- 専門修理店との料金・保証・納期の違い
- 部品交換や研磨で費用が増える理由
- カレラやアクアレーサーに合う依頼先
先に押さえておきたいのは、料金表に掲載されている金額は、基本となるサービス料金だということです。
時計内部の摩耗、外装部品の破損、文字盤の腐食、リューズの不具合などが見つかれば、部品代や追加作業費が加わります。
掲載している金額は、公式価格表や修理店が公表している料金を基にした一般的な目安です。
時計の型番、状態、製造年、搭載ムーブメント、交換部品によって最終料金は変わります。
正確な情報はタグホイヤー公式サイトや各修理店で確認し、正式な見積もりを取ったうえで判断してください。
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タグホイヤーの正規料金

まずは正規サービスの料金体系を確認
タグホイヤーの正規サービスでは、本格的なオーバーホールを「コンプリートサービス」と呼んでいます。
コンプリートサービスは、時計を動く状態に戻すだけの修理ではありません。
時計の診断と分解、ムーブメントの分解修理、洗浄、注油、組み立て、精度調整、不良部品や消耗部品の交換、ケースとブレスレットの洗浄、ガスケット交換、防水テスト、最終検査までを含む総合的な整備です。
クオーツ時計では、必要に応じてバッテリー交換もサービスに含まれます。
正規料金の大きな特徴は、カレラ、モナコ、アクアレーサーといったコレクション名ではなく、主にムーブメントの種類によって料金グループが分けられている点です。
そのため、「カレラのオーバーホール料金はいくらですか」と問い合わせても、型番や搭載ムーブメントがわからなければ正確な区分を判断できません。
正規料金の基本区分
2026年3月改定後の正規料金は、次のとおりです。
正規サービスの料金一覧
| 料金区分 | 主な仕様 | コンプリートサービス | 部分メンテナンス |
|---|---|---|---|
| グループ1 | クオーツ3針 | 48,400円 | 15,400円 |
| グループ2 | クオーツクロノグラフ・ソーラーグラフ | 58,300円 | 15,400円 |
| グループ3 | 機械式3針 | 63,800円 | 22,000円 |
| グループ4 | 機械式クロノグラフ | 74,800円 | 22,000円 |
| グループ5 | 自社製ムーブメント・COSC | 89,100円 | 22,000円 |
| グループ6 | 複雑時計 | 352,000円 | 77,000円 |
料金は税込の一般的な目安です。価格表にない修理や部品については、時計を預けて診断を受けた後に個別見積もりとなります。
出典:タグ・ホイヤー公式「メンテナンスサービスとコンプリートサービス価格表」
標準的な機械式モデルでは、正規オーバーホール料金が6万円台から9万円前後になっています。
クオーツ3針でも48,400円なので、購入時の価格が比較的手頃だった旧型フォーミュラ1やセルでは、「修理費用をどこまでかけるべきか」と迷いやすいでしょう。
一方、ホイヤー01、ホイヤー02、キャリバー1887、TH20、TH30、TH31、キャリバー36、COSC認定ムーブメントなどは、グループ5に分類される可能性があります。
同じ機械式時計でも、汎用系ムーブメントを搭載した3針モデルより、基本料金が2万円以上高くなることがあるわけです。
部分メンテナンスとオーバーホールは別
部分メンテナンスでは、ケースやブレスレットの洗浄、クオーツ時計の電池交換、ガスケット交換、防水テスト、最終検査などを行います。
ただし、通常はムーブメント内部を完全に分解して、歯車や軸受けを一つずつ洗浄・注油する作業までは含まれません。
部分メンテナンスで済むケース
時計の動作や精度に明らかな問題がなく、電池交換、防水性の回復、外装の洗浄を中心に行いたい場合は、部分メンテナンスが合う可能性があります。
たとえばクオーツ時計で、前回の電池交換から数年が経過しているものの、動作に異常がない場合です。
一方、電池を替えても動かない、機械式時計がすぐ止まる、クロノグラフの針が戻らないといった症状があるなら、部分メンテナンスでは解決できないことがあります。
時計の内部状態は外から確認できません。
「安いほうでお願いします」と決めるのではなく、症状を伝えたうえで診断を受けることが大切ですよ。
オーバーホールそのものの意味や作業工程から確認したい方は、時計のオーバーホールとは何かを解説した記事も参考にしてください。
クオーツの正規料金
タグホイヤーのクオーツ3針モデルは、正規コンプリートサービスで48,400円が基本料金の目安です。
クオーツクロノグラフやソーラーグラフは構造や機能が増えるため、基本料金は58,300円となります。
対象になりやすいのは、フォーミュラ1、リンク、セル、キリウム、アクアレーサーなどに見られるクオーツモデルです。
ただし、シリーズ名だけで料金区分を決めることはできません。
フォーミュラ1にも3針とクロノグラフがあり、アクアレーサーにもクオーツと機械式があります。
まず文字盤を見て、通常の時刻表示だけなのか、複数の小さな文字盤を備えたクロノグラフなのかを確認すると判断しやすいですよ。
電池交換とオーバーホールの違い
「電池交換だけなら数千円なのに、なぜクオーツのオーバーホールは数万円もするのだろう」と感じるかもしれません。
もっともな疑問です。
電池交換は、原則として消耗した電池を新しいものに替える作業です。
店舗によっては簡易的な防水検査やパッキン確認も行いますが、ムーブメントを完全に分解するわけではありません。
コンプリートサービスでは、時計を分解し、内部の汚れや摩耗を確認したうえで、必要な整備や部品交換を行います。
クオーツ時計にも歯車や軸があり、電気信号を針の動きへ変える機械部分が存在します。
油が汚れたり、歯車の動きが重くなったりすると、通常より多くの電力を消費します。
その結果、新しい電池を入れても短期間で止まることがあるのです。
クオーツで点検を急ぎたい症状
電池交換後すぐに止まる、秒針が不規則に動く、時刻が大幅にずれる、文字盤の内側が曇るといった症状は、電池切れ以外の問題が隠れている可能性があります。
とくに風防の内側に水滴や曇りが見える場合は、内部に湿気が入っているかもしれません。
そのまま使い続けると、電子回路だけでなく、文字盤、針、歯車、リューズ周辺まで腐食が広がるおそれがあります。
注意:止まったクオーツ時計を放置しない
長期間止まったままのクオーツ時計は、電池の液漏れに注意が必要です。
古い電池を入れたまま放置すると、液漏れによって回路や接点が腐食することがあります。
回路交換やムーブメント一式の交換が必要になると、オーバーホール基本料金を大きく超える可能性があります。
使わなくなった時計を引き出しに入れたままにしている方もいるでしょう。
今後も使う予定があるなら、電池切れを確認した時点で電池を抜くか、時計店で状態を確認してもらうほうが安心です。
反対に、時計の動作に問題がなく、単純な電池切れだけであれば、必ずしもコンプリートサービスが必要とは限りません。
無駄な支出を避ける考え方
まずは電池交換と点検を依頼し、内部の分解整備が本当に必要かを確認することがポイントです。
見積もり時には、「電池交換だけで動く場合は電池交換のみ」「内部整備が必要な場合は連絡を希望」と伝えておくと、希望しない作業が進むのを防ぎやすくなります。
機械式の正規料金
機械式3針モデルの正規コンプリートサービスは、基本料金63,800円が目安です。
カレラ キャリバー5、アクアレーサー キャリバー5、リンクの自動巻きモデルなどが該当する可能性があります。
ただし、同じカレラでも、自社製ムーブメントやCOSC認定ムーブメントを搭載している場合はグループ5となり、基本料金は89,100円です。
見た目が3針だから、すべて63,800円になるわけではありません。
裏蓋、保証書、購入時の説明書、型番検索などから、搭載ムーブメントを確認する必要があります。
機械式時計でオーバーホールが必要な理由
機械式時計の内部では、ゼンマイ、歯車、テンプ、脱進機、自動巻き機構など、多数の小さな部品が動き続けています。
部品同士が接触する場所には、摩擦を抑えるための潤滑油が使われています。
ところが、潤滑油は永久に同じ状態を保てるものではありません。
時間がたつと乾燥したり、周囲の微細な汚れと混ざったりして、潤滑性能が低下します。
油切れの状態で使用を続けると、軸や歯車に負担がかかり、部品そのものが摩耗する可能性があります。
部品が摩耗してから整備すると、分解洗浄だけでは済まず、交換部品代が加わります。
そのため、オーバーホールは単に精度を整える作業ではなく、部品の摩耗を早い段階で発見し、時計を長く使うための予防整備でもあるのです。
年数だけで判断しない
タグホイヤーでは定期的な点検やメンテナンスが案内されていますが、適切なタイミングは使い方によって変わります。
毎日着用する時計と、月に数回しか使わない時計では、部品が動く時間が異なります。
一方、使用頻度が少なくても、油やガスケットは時間とともに変化します。
「使っていないから劣化しない」とは限りません。
購入から一定年数が経過したという理由だけで、すぐに高額なオーバーホールを依頼する必要はないかもしれません。
ただし、次のような変化がある場合は点検を考えたいところです。
機械式時計で確認したい変化
以前より大きく進む・遅れる、十分に巻き上げても早く止まる、ローター音が大きい、リューズが重い、時刻合わせで引っかかる、内部から異音がする、といった症状です。
たとえば、これまで一晩置いても動いていた時計が、外して数時間で止まるようになった場合は、ゼンマイの劣化や自動巻き機構の不具合が考えられます。
ただし、単純な巻き上げ不足や着用時間の短さでも止まりやすくなります。
まず手巻きが可能なモデルなら十分に巻き上げ、持続時間を確認してみましょう。
それでも急に止まるなら、専門家へ相談してください。
「機械式時計は10年間オーバーホールしなくても大丈夫なのか」と迷っている方は、機械式時計のオーバーホール10年不要説を検証した記事も参考になります。
クロノグラフの正規料金
機械式クロノグラフの正規コンプリートサービスは、基本料金74,800円が目安です。
クオーツクロノグラフは58,300円なので、クロノグラフであっても、クオーツか機械式かによって料金が異なります。
また、ホイヤー01、ホイヤー02、キャリバー1887などの自社製または特定ムーブメントは、グループ5の89,100円に分類される可能性があります。
クロノグラフが高くなる理由
クロノグラフは、通常の時刻表示に加えて、スタート、ストップ、リセットを行う計測機構を備えています。
文字盤にある小さな積算計、ケース側面のプッシュボタン、計測針を動かすためのレバーや歯車など、3針時計にはない部品が加わります。
部品数が増えれば、分解、洗浄、組み立て、注油、調整に必要な時間も増えます。
さらに、計測針が正しい位置から動き始め、停止し、リセット時にゼロへ戻ることまで確認しなければなりません。
そのため、3針モデルよりオーバーホール料金が高くなるのは自然なことです。
専門店で対応しやすいクロノグラフ
キャリバー16など、広く使われてきた汎用ムーブメントを基にしたクロノグラフは、対応実績を持つ専門修理店が比較的多い傾向があります。
部品の流通や整備経験がある専門店なら、正規より費用を抑えながら修理できる可能性があります。
一方、ホイヤー01、ホイヤー02、TH20などの自社製ムーブメントは、純正部品の入手や専用設備の問題から、専門店で受付できない場合があります。
料金より先に確認したいこと
料金だけを比べるのではなく、搭載ムーブメントを実際に分解整備できるかを最初に確認してください。
注意:異常時はボタンを押し続けない
クロノグラフに異常があるときは、プッシュボタンを何度も押さないでください。
ボタンが戻らない、針が途中で止まる、リセットしてもゼロに戻らない場合は、内部部品が正常に動いていない可能性があります。
無理に操作を続けると、不具合が広がることがあります。
計測機能を使っていないときは問題なく動いていても、クロノグラフを作動させると時計全体が止まる場合があります。
この場合も、計測機構の負荷や部品の不具合が考えられるため、早めに点検を依頼したほうが安心です。
正規料金に加わる追加費用

基本料金ではなく見積総額で比較する
正規料金表や専門店の価格表に書かれている金額は、最終的な支払額ではなく、基本となるサービス料金です。
時計を分解して初めて、油切れ、摩耗、サビ、部品の変形などが見つかることがあります。
実際には、ムーブメントや外装の状態を確認した後、交換部品、研磨、特殊作業などの費用が追加される場合があります。
「基本料金が安い専門店を選んだのに、最終見積もりは想像より高かった」ということも珍しくありません。
比較で最も大切なポイント
タグホイヤーのオーバーホール料金を比較するときは、広告に表示された開始価格ではなく、部品代や送料を含めた見積総額で判断しましょう。
部品交換で増える費用
機械式時計で交換されやすい部品には、ゼンマイ、切替車、歯車、パッキン、バネ棒などがあります。
クオーツ時計では、電子回路、コイル、モーター、ムーブメント一式の交換が必要になることがあります。
タグホイヤーの正規コンプリートサービスには、不良部品や消耗部品の交換が作業内容として含まれています。
ただし、すべての部品代が無条件で基本料金に含まれるという意味ではありません。
公式価格表に記載されていない修理や部品については、診断後に個別見積もりとなります。
文字盤、針、リューズ、プッシュボタン、風防、ブレスレットなどの外装部品や、希少な専用部品が必要な場合は、基本料金だけでは収まらない可能性があります。
追加されやすい部品と役割
追加費用が出やすい部品
| 追加されやすい項目 | 発生する主な理由 | 見積もりで確認したいこと |
|---|---|---|
| ゼンマイ | 金属疲労、切断、トルク低下 | 部品代と交換工賃 |
| 切替車・自動巻き部品 | 巻き上げ機構の摩耗 | 交換理由と部品の種類 |
| 歯車・軸 | 油切れや摩耗 | 分解整備で回復するか |
| パッキン | 硬化による防水性低下 | 基本料金に含まれるか |
| バネ棒 | サビ、曲がり、摩耗 | 左右の交換本数 |
| リューズ・プッシュボタン | 摩耗、変形、浸水 | 純正部品の在庫 |
| 文字盤・針 | 腐食、変色、夜光の劣化 | 交換の必要性と旧部品の扱い |
| クオーツ回路 | 液漏れ、ショート、電気的不具合 | 回路交換かムーブメント交換か |
| 風防・ガスケット | 欠け、傷、密閉不良 | 専用品を調達できるか |
ゼンマイは機械式時計の動力源です。
劣化して十分な力を生み出せなくなると、持続時間が短くなったり、時計の動きが不安定になったりします。
切替車や自動巻き部品は、腕の動きによるローターの回転を、ゼンマイの巻き上げへ伝える役割を持っています。
この部分が摩耗すると、時計を着けていても十分に巻き上がらず、すぐ止まることがあります。
基本料金が安くても総額が上がる例
たとえば、専門店の機械式クロノグラフ基本料金が35,200円だったとします。
そこにゼンマイ6,600円、切替車やリバーシング部品8,800円、パッキン1,100円が加わると、合計は51,700円です。
さらに新品仕上げを11,000円で付ければ、総額は62,700円になります。
この例では正規の機械式クロノグラフ基本料金74,800円より安いものの、最初に見た35,200円とは大きな差があります。
時計の状態によっては、正規と専門店の差が思ったほど広がらないこともあるわけです。
反対に、交換部品がほとんどなく、基本整備だけで済めば、専門店の価格面でのメリットは大きくなります。
見積書で確認する項目
- オーバーホール基本料金
- 交換部品と交換理由
- 研磨や新品仕上げの料金
- 防水検査の範囲
- 往復送料とキャンセル時の返送料
- 修理後の保証期間と対象範囲
「一式」とだけ書かれている場合は、どの作業と部品が含まれているか質問しましょう。
交換部品の承認方法も確認する
修理店によって、見積もりの承認方法は異なります。
すべての追加部品について事前承認を求める店舗もあれば、一定額までは店舗判断で交換し、上限を超える場合だけ連絡する店舗もあります。
予算を明確にしたい場合は、「総額が○万円を超える場合は作業前に連絡してください」と伝えておくと安心です。
文字盤や針など、見た目が変わる部品については、金額にかかわらず必ず事前確認を希望すると伝えましょう。
オーバーホールと故障箇所だけを直す修理の違いが曖昧な場合は、オーバーホールと修理の違いを解説した記事で依頼内容を整理しておくと安心です。
研磨と防水検査の費用
タグホイヤーの正規コンプリートサービスでは、ケースとブレスレットの洗浄は作業内容に含まれます。
洗浄は、ブレスレットの隙間やケース周辺に付着した皮脂、汗、ホコリなどを取り除く作業です。
一方、金属表面の傷を目立ちにくくする軽研磨は有料オプションです。
標準的な料金グループでは、ケースとブレスレットの軽研磨が15,400円、複雑時計では24,200円の追加です。
ヴィンテージ区分では、ケースとブレスレットの仕上げが74,800円となる場合があります。
研磨でできることとできないこと
研磨を付けると、日常使用で付いた細かな擦り傷が目立ちにくくなり、金属部分の光沢や筋目を整えられます。
長年使ってきた時計が明るい印象になり、オーバーホール後の満足感も高まりやすいでしょう。
ただし、深い打痕、欠け、大きな変形まで必ず消せるわけではありません。
深い傷を完全に消そうとすると、その周囲を大きく削る必要があります。
時計本来の形を守るため、あえて傷を残す判断がされることもあります。
また、研磨では金属表面をわずかに削ります。
何度も強い研磨を繰り返すと、ケースの角が丸くなったり、ベゼルの刻印が薄くなったり、鏡面と筋目の境界が変わったりする可能性があります。
注意:研磨は毎回必須ではない
小傷を使用の記録として残したい場合や、ケースの形状をできるだけ変えたくない場合は、見積もり時に「研磨なし」と伝えましょう。
将来の売却やヴィンテージとしての価値を重視する場合も、安易に強い研磨を選ばないほうがよいケースがあります。
正規の軽研磨と専門店の新品仕上げ
正規サービスでは、金属部分の軽研磨が有料オプションとして用意されています。
専門店では、「新品仕上げ」「外装仕上げ」「プレミアムポリッシュ」などの名称で、ケースやブレスレットの磨きを提供していることがあります。
専門店シエンの掲載例では、オーバーホールと同時に新品仕上げを依頼する場合、11,000円のセット価格が案内されています。
ただし、仕上げの範囲や強さは店舗ごとに異なります。
ベゼルの刻印部分、サテン仕上げと鏡面仕上げの境界、ケースのエッジをどのように残すのか、依頼前に作業方針を確認しましょう。
防水検査で確認したいこと
防水検査についても注意が必要です。
正規のコンプリートサービスでは、ガスケット交換と防水テストが作業内容に含まれています。
ただし、ヴィンテージウォッチやストップウォッチについては、オーバーホールとガスケット交換を行っても防水性は保証されないと公式価格表に明記されています。
古い時計は、ケース、裏蓋、リューズ、風防周辺が摩耗・変形していることがあります。
パッキンだけを交換しても、新品時と同じ密閉性を回復できない場合があるためです。
アクアレーサーのようなダイバーズウォッチを水中で使用する予定がある場合は、単に「防水検査済み」かだけでなく、どの圧力まで試験したのかも確認してください。
街中で雨や手洗いの水滴を避けながら使う場合と、海やプールで水に浸ける場合では、必要な防水性能が違います。
オーバーホール後であっても、リューズを開いた状態で水に触れさせたり、水中でクロノグラフのプッシュボタンを操作したりしないよう注意が必要です。
修理専門店との料金比較

専門店は料金以外も比較する
正規料金が高いと感じる場合は、タグホイヤーの修理実績がある時計修理専門店も選択肢になります。
とくに汎用ムーブメントを基にしたキャリバー5やキャリバー16は、部品を調達できる専門店が比較的多く、正規より費用を抑えられる可能性があります。
専門店のメリットは料金だけではありません。
国内で修理を完結できれば、正規サービスより早く戻ってくる場合があります。
研磨をセット価格で依頼できる店舗や、郵送用の梱包キットを用意している店舗もあります。
ただし、専門店は店舗によって技術、設備、保証、部品の調達力が異なります。
安さだけではなく、修理内容、過去の実績、担当技術者、保証条件まで比較することが大切です。
専門店のオーバーホール相場
時計修理専門店シエンでは、タグホイヤーの基本料金として、クオーツ22,000円、クオーツクロノグラフ35,200円、自動巻き25,300円、機械式クロノグラフ35,200円が掲載されています。
新品仕上げを同時に依頼する場合は、基本料金に11,000円を加えたセット価格の例が案内されています。
時計の状態によって部品代が加わるため、正式な総額は点検後の見積もりで決まります。
正規と専門店の基本料金を比較
| 時計の種類 | タグホイヤー正規 | 専門店の一例 | 基本料金の差 |
|---|---|---|---|
| クオーツ3針 | 48,400円 | 22,000円 | 約26,400円 |
| クオーツクロノグラフ | 58,300円 | 35,200円 | 約23,100円 |
| 機械式3針 | 63,800円 | 25,300円 | 約38,500円 |
| 機械式クロノグラフ | 74,800円 | 35,200円 | 約39,600円 |
専門店料金はシエンが公開している基本料金を比較例として使用しています。モデル、交換部品、作業内容、受付状況によって実際の料金と納期は変わります。
表を見ると、機械式3針やクロノグラフでは、基本料金に3万円以上の差が出る場合があります。
「これなら専門店のほうが圧倒的に得」と感じるかもしれません。
ただし、正規と専門店では料金に含まれる部品、検査内容、保証期間が同じとは限りません。
基本料金だけで判断しない
基本料金が半額だから、まったく同じ修理を半額で受けられるとは限らないことは理解しておきましょう。
専門店を料金だけで選ばない
専門修理店を比較するときは、料金表の安さだけでなく、次の内容を確認してください。
タグホイヤーの修理事例が掲載されているか、該当ムーブメントの実績があるか、修理を自社で行うか、外注するかという点です。
また、交換部品の種類、防水検査の設備、修理後保証の範囲も重要です。
「純正部品を使用」と書かれていても、すべての部品を常に純正で用意できるとは限りません。
純正部品を調達できない場合に、修理を中止するのか、互換部品を提案するのか、ムーブメント一式を交換するのかを確認しましょう。
専門店へ無料見積もりを相談する
タグホイヤーの修理実績、無料見積もり、対応可能なムーブメントを確認したい方は、時計修理・オーバーホール専門店シエンで相談できます。
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正式に依頼する前に、部品代、研磨、防水検査、送料、保証を含む見積総額を確認してください。
型番と症状を伝え、自分の時計が受付対象かを先に確認しておくとスムーズです。
正規と専門店の保証比較
タグホイヤーの正規コンプリートサービスには、実施したメンテナンスと交換部品に対して、24か月の修理保証が付与されます。
ただし、落下、強い衝撃、誤った操作など、使用者の取り扱いによって生じた損傷は保証対象外です。
水入りについても、リューズの閉め忘れや、保証された範囲を超える使い方が原因と判断されれば、保証されない可能性があります。
専門店では、オーバーホール後1年間の保証を設けている店舗が多く見られます。
たとえばシエンでは、オーバーホール後に1年間の品質保証を案内しています。
| 比較項目 | 正規サービス | 専門修理店 |
|---|---|---|
| 修理後保証 | 24か月 | 1年前後が多い |
| 純正部品 | メーカー管理の部品 | 在庫や調達状況による |
| メーカー独自部品 | 対応しやすい | 受付不可の場合あり |
| 自社製ムーブメント | メーカー基準で対応 | 対応できない場合あり |
| 修理履歴 | 正規サービスの記録 | 店舗独自の修理記録 |
| 保証範囲 | メーカー規定による | 店舗規定による |
| 外装部品 | 純正部品を用いた対応が可能 | 調達できない場合あり |
購入時保証と修理後保証は別
ここで混同しやすいのが、購入時の国際保証と、オーバーホール後の修理保証です。
購入時の国際保証は、製造上の欠陥などを対象にする保証です。
タグホイヤーの通常の国際保証は購入日から2年間で、条件を満たす対象モデルをMY TAG HEUERへ登録すると、3年間延長され、合計5年間になる制度があります。
ただし、すべてのタグホイヤーが5年間の延長保証対象になるわけではありません。
対象は、ホイヤー02、ホイヤー02T、TH30-00、TH50-00など、タグホイヤーが指定する特定の自社製ムーブメントを搭載したモデルに限られます。
キャリバー5やキャリバー16など、汎用ムーブメントを基にしたモデルは、原則としてこの5年延長保証の対象外と考えておく必要があります。
また、対象キャリバーを搭載していても、購入日、登録期限、保証カードの有効性などの条件を満たさなければ延長されません。
注意:登録だけで全モデルが5年保証にはならない
「MY TAG HEUERに登録すれば、どのモデルでも5年保証になる」という理解は誤りです。
登録前に、所有モデルの型番と搭載キャリバーを確認し、公式ページ上で延長保証の対象かを確認してください。
対象ムーブメントや条件は変更される可能性があります。
一方、オーバーホール後の修理保証は、実施した作業や交換した部品に対する保証です。
購入から何年も経過して国際保証が切れていても、正規コンプリートサービスを受ければ、その修理に対して24か月の保証が付きます。
保証期間中は正規へ先に相談する
購入時の保証が残っている時計に不具合が出た場合は、先に正規販売店やタグホイヤーのカスタマーサービスへ相談してください。
保証対象の不具合であれば、無償で対応される可能性があります。
保証期間中に第三者の修理店でケースを開けたり、ムーブメントを分解したりすると、メーカー保証に影響する可能性があります。
保証書があっても有償になることがある
落下、衝撃、磁気、誤操作、通常使用による摩耗、経年劣化などは、保証対象外になる場合があります。
無償修理の可否は、実物を診断したうえで判断されます。
納期と部品対応の違い
正規サービスの強みは、タグホイヤー独自の部品や自社製ムーブメントに対応しやすいことです。
文字盤、針、リューズ、プッシュボタン、ケース、風防、ブレスレットなど、外観をオリジナルの状態に近づけたい場合も、正規サービスが有力になります。
一方で、時計の状態、部品の在庫、修理内容、スイスでの作業が必要かどうかによって、納期が長くなることがあります。
通常モデルでも見積もりと作業に一定の期間が必要です。
ヴィンテージ、複雑時計、国内で対応できないモデルでは、数か月単位になる可能性も考えておきましょう。
専門店の納期
専門店は、国内で作業を完結できるモデルであれば、比較的早く仕上がる可能性があります。
シエンでは約3週間という納期目安が案内されることがありますが、依頼の集中状況や部品の調達状況によって変わります。
つまり、「公式ページに3週間と書いてあるから、必ず3週間で返ってくる」とは限りません。
見積もりにかかる日数、修理開始から完成までの日数、配送日数を分けて確認するとわかりやすいですよ。
注意:短納期だけで決めない
分解、洗浄、注油、精度調整、防水検査、持続時間の確認には一定の時間が必要です。
極端に短い納期が示されている場合は、どこまでの作業が含まれているかを確認しましょう。
部品がない場合の対応を確認する
専門店へ依頼するときに見落としやすいのが、部品を調達できない場合の対応です。
汎用ムーブメントの内部部品であれば調達できても、タグホイヤー専用の文字盤、針、リューズ、プッシュボタン、風防は用意できないことがあります。
ムーブメントの整備は可能でも、リューズが破損しているため防水性を回復できないというケースも考えられます。
修理店へ相談するときは、時計の型番、症状、過去の修理歴、希望する納期を伝えるとスムーズです。
専門店へ確認したい5項目
- このムーブメントの修理実績はあるか
- 純正部品を使用できるか
- 部品を調達できない場合はどうするか
- 防水検査はどの範囲まで行うか
- 修理保証は何を対象にするか
郵送修理で確認したいこと
近くに専門店がない場合は、郵送修理を利用できます。
無料の梱包キットや着払い伝票を用意している店舗もありますが、キャンセル時の返送料は利用者負担になることがあります。
修理を依頼した場合は往復送料無料でも、見積もり後にキャンセルした場合は着払いで返却される、といった条件もあるため注意してください。
また、シエンなど一部の専門修理店では、最終的な修理料金の合計が1万円未満となった場合、送料を利用者が負担する規定が設けられています。
オーバーホールで合計1万円未満になることは少ないものの、電池交換、部分的な調整、軽微な修理だけで済んだ場合には該当する可能性があります。
少額修理ほど送料規定を確認
電池交換だけを郵送で依頼すると、作業料金より往復送料の負担が気になる場合があります。
近隣店舗での電池交換と郵送修理の総額を比較してから依頼すると安心です。
発送前には、時計の表裏、側面、ブレスレット、バックルの状態を写真で残しておくと安心です。
箱、保証書、替えベルトなど、修理に必要のない付属品は送らず、時計本体だけを梱包するのが基本です。
店舗の案内がある場合は、その指示に従ってください。
モデル別の依頼先判断

モデル名よりムーブメントと部品で判断
タグホイヤーの依頼先は、時計の購入価格やモデル名だけでは決められません。
同じシリーズ内にクオーツ、汎用系の機械式、自社製ムーブメントが混在しているため、搭載ムーブメントと必要な部品を基準に判断する必要があります。
さらに、日常生活で使うのか、水辺で使うのか、将来売却する可能性があるのかによっても、優先したい整備内容が変わります。
ここでは、代表的なコレクションごとに依頼先の考え方を整理します。
カレラとアクアレーサー
カレラやアクアレーサーは、タグホイヤーの中でもモデル数が多く、依頼先を一括りにできないシリーズです。
カレラにはクオーツ、機械式3針、機械式クロノグラフ、自社製クロノグラフが存在します。
アクアレーサーにもクオーツ3針、クオーツクロノグラフ、自動巻き3針、機械式クロノグラフなどがあります。
シリーズ名だけで修理料金を調べると、自分の時計とは違う料金を見てしまう可能性があります。
キャリバー5とキャリバー16
キャリバー5を搭載した機械式3針や、キャリバー16を搭載したクロノグラフは、汎用ムーブメントを基にしているモデルが多く、対応実績のある専門店を選びやすい傾向があります。
内部の歯車、ゼンマイ、自動巻き機構などを調達できる専門店であれば、正規より費用を抑えられる可能性があります。
費用を重視する場合は、正規サービスと専門店の両方から見積もりを取り、部品代を含めて比較するとよいでしょう。
ただし、キャリバー5やキャリバー16という名称だけで、内部構造がすべて同じとは限りません。
製造時期や型番によって仕様が異なることがあるため、最終的には実物確認が必要です。
自社製ムーブメント搭載カレラ
ホイヤー01、ホイヤー02、TH20などを搭載する新しいカレラは、専門店で受付できない場合があります。
シエンでも、キャリバー1887、ホイヤー01、ホイヤー02、キャリバーSを搭載するモデルは修理受付の対象外になる場合があります。
理由は、単に技術が難しいからとは限りません。
分解整備ができても、摩耗した純正部品を外部の修理店が調達できなければ、責任を持って修理を完了できないためです。
自社製ムーブメントは正規を優先
ホイヤー01やホイヤー02などの自社製ムーブメント搭載モデルでは、まず正規サービスへ相談するのが現実的です。
アクアレーサーは防水を優先する
アクアレーサーでは、ムーブメントに加えて防水性が重要です。
街中でファッションウォッチとして使うだけなら、日常的な水滴を避けながら使う方法もあります。
しかし、海、プール、ダイビングで使用する予定があるなら、防水性能の回復と検査を優先しなければなりません。
料金の安さだけでなく、ガスケット交換、リューズやチューブの点検、防水試験の圧力、検査結果の説明まで確認してください。
モナコと自社製ムーブメント
モナコは、角型ケースと独特の風防構造を持つため、一般的な丸型時計とは異なる注意が必要です。
キャリバー11やキャリバー12など、専門店で対応できるムーブメントを搭載したモデルもあります。
内部ムーブメントのオーバーホールだけで済めば、専門店を選べる可能性があります。
ただし、モナコでは外装部品の状態が費用と依頼先を大きく左右します。
角型風防と専用部品に注意
モナコの風防は、モデルに合わせた特殊な四角形のサファイアクリスタルが使われています。
一般的な丸型風防のように、近いサイズの汎用品で簡単に代用できるとは限りません。
専用の風防、ガスケット、プッシュボタン、リューズ、文字盤などが必要になると、専門店では部品を用意できない可能性があります。
とくに風防に欠けやひび割れがあり、交換を避けられない場合は、オーバーホール料金とは別に、3万円から10万円前後の専用パーツ費用が加わる例があります。
この金額はモデル、製造年、風防の仕様、部品在庫、依頼先によって大きく異なる一般的な目安です。
実際には時計を確認した後の個別見積もりとなります。
注意:モナコは基本料金だけで予算を決めない
内部のオーバーホールが3万円台から4万円台で済む場合でも、専用風防やプッシュボタンの交換が加わると、総額が大きく上がる可能性があります。
発送前に風防の欠け、ひび、ケースとの隙間がないか確認しておきましょう。
とくに風防の欠け、ケースの変形、プッシュボタンの破損、文字盤の腐食がある場合は、正規サービスにも見積もりを依頼したほうが安心です。
外装部品の交換が重なると、オーバーホール基本料金とは別に、数万円単位の費用が加わる可能性があります。
自社製ムーブメントは正規優先
ホイヤー02などの自社製ムーブメントを搭載したモナコは、基本的には正規サービスを優先しやすいモデルです。
専門店で受け付けてもらえたとしても、純正部品が必要になった段階で修理を完了できなくなる可能性があります。
モナコの依頼先を決める判断軸
内部の分解整備だけで済むのか、専用外装部品や自社製ムーブメント部品まで必要なのかによって、最適な依頼先は変わります。
また、スケルトン文字盤や複雑な構造を持つモデルは、専門店側の受付対象外になることがあります。
問い合わせの段階で型番と時計全体の写真を送り、受付可能か確認してから発送しましょう。
モナコは時計全体の状態を伝える
「遅れる」という内部症状だけでなく、風防の欠け、プッシュボタンの感触、リューズの状態、文字盤の曇りなども伝えてください。
内部整備は可能でも、外装部品の問題で防水性を回復できない場合があります。
旧型クオーツとヴィンテージ
セル、リンク、キリウム、旧型フォーミュラ1などのクオーツモデルでは、現在の時計価値と正規修理費用のバランスが問題になります。
購入時の価格が10万円前後だった時計に、正規コンプリートサービスで5万円前後、さらに部品代が必要となると、修理するか迷うのは自然ですよね。
思い出の品であれば、市場価値だけで修理の可否を決める必要はありません。
一方、今後あまり使わない時計なら、修理費用と買い替え費用を比較することも大切です。
20年以上経過したモデル
タグホイヤーの公式価格表では、20年以上経過した一部モデルについて、特別なケアや希少部品が必要となるため、コンプリートサービスに追加料金が適用される場合があると案内されています。
20年以上経過しているから、すべてが自動的にヴィンテージ料金になるわけではありません。
通常料金に追加費用が加わる「ネオヴィンテージ」として扱われるモデルと、1985年以前に製造されたヴィンテージウォッチの料金区分は分けて考える必要があります。
1985年以前のヴィンテージ料金
1985年以前に製造されたヴィンテージモデルは、通常モデルとは別の料金区分です。
公式価格表では、クオーツヴィンテージのコンプリートサービスが126,500円、機械式ヴィンテージが269,500円と案内されています。
ヴィンテージ時計は、スイスの専門時計師が、時計の価値とオリジナルの美観を維持することを意識しながら整備する方針です。
一般的なオーバーホールより高額ですが、希少部品、特殊な構造、オリジナル性への配慮を含む料金と考えられます。
専門店でムーブメントを載せ替える選択
専門店では、汎用クオーツムーブメントの整備や載せ替えによって、費用を抑えながら使い続けられる可能性があります。
電池液漏れで回路が壊れていても、同型または互換性のあるムーブメントを用意できれば、時計として再び使えることがあります。
ただし、ムーブメントを載せ替えると、内部のオリジナル性が変わります。
資産価値や収集価値を重視する場合は、載せ替えを行う前に、その影響を理解しておきましょう。
ヴィンテージは目的を先に決める
「動けばよいか」「オリジナル性を守りたいか」を先に決めましょう。
実用品として使うことを優先するなら専門店、資産性や歴史的な状態を重視するなら正規のヴィンテージサービスが向いています。
家族から受け継いだ時計など、金額に置き換えにくい価値がある場合は、その事情も修理店へ伝えてください。
修理するか売却するか
修理見積もりが時計の市場価値を大きく上回った場合は、修理以外の選択肢も冷静に考えてよいでしょう。
たとえば、修理費用が8万円で、同じ型番の中古品が10万円前後で購入できるなら、買い替えのほうが合理的と感じる方もいるでしょう。
反対に、長年使ってきた個体への愛着があるなら、同じ型番の別個体へ買い替えても満足できないかもしれません。
あなたは、その時計の機械としての価値を残したいでしょうか。
それとも、思い出を含めて同じ個体を使い続けたいでしょうか。
ここは、費用だけでは決められない部分です。
買い替え価格と修理費を比べる
ただし、販売価格と買取価格は異なります。
中古店で10万円で販売されている時計が、10万円で買い取られるわけではありません。
手放すことを検討する場合は、修理前の状態でも査定可能か、ブラリバなどの買取サービスへ相談する方法もあります。
修理費用をかけてから売却しても、その費用が査定額にそのまま上乗せされるとは限りません。
売却を前提にしているなら、修理前の査定額と、修理した場合に見込まれる査定額の両方を聞いてから判断することが大切です。
タグホイヤーの依頼先の選び方
最後に依頼先の選び方を整理
この記事の結論
タグホイヤーのオーバーホール料金は、クオーツ、機械式、クロノグラフ、自社製ムーブメントで大きく異なります。
正規サービスでは、クオーツ3針が48,400円、機械式3針が63,800円、機械式クロノグラフが74,800円、自社製ムーブメントやCOSC対象モデルが89,100円という料金区分が目安です。
専門修理店では、汎用ムーブメントを搭載したモデルを中心に、正規料金より2万円から4万円前後抑えられる場合があります。
ただし、部品交換、研磨、防水検査を追加すると差額が小さくなることがあります。
正規サービスと専門修理店のどちらにも強みがあるため、単純に安いほうを選ぶのではなく、時計の構造と使用目的を基準に判断しましょう。
タグホイヤーのオーバーホールに関するよくある質問(FAQ)
Q1. タグホイヤーのオーバーホール料金はいくらですか?
A. 正規コンプリートサービスの基本料金は、クオーツ3針48,400円、クオーツクロノグラフ58,300円、機械式3針63,800円、機械式クロノグラフ74,800円、自社製ムーブメントやCOSC対象モデル89,100円が目安です。
複雑時計は352,000円、1985年以前の機械式ヴィンテージは269,500円という別区分があります。
ただし、リューズ、文字盤、針、風防、ゼンマイなどの交換部品や、研磨作業によって総額は変わります。時計を点検した後の正式見積もりを確認してください。
Q2. タグホイヤーは何年ごとにオーバーホールすべきですか?
A. 一律の年数だけで判断するのではなく、使用頻度や環境、日差、持続時間、巻き上げ状態、防水性を含めて考える必要があります。
数年間点検していない場合や、急な精度悪化、停止、異音、リューズの違和感がある場合は早めに相談しましょう。
クオーツ時計でも、電池交換後すぐ止まる、文字盤の内側が曇るといった症状がある場合は、電池交換だけで済ませず点検を受けてください。
最終的な判断は、正規サービスや時計修理の専門家に相談するのが安心です。
Q3. 正規サービスと専門店はどちらがおすすめですか?
A. ホイヤー01、ホイヤー02、TH20などの自社製ムーブメント、スケルトンモデル、純正外装部品の交換が必要な時計は正規サービスが向いています。
キャリバー5やキャリバー16など、専門店で対応実績があるムーブメントは、費用と納期を抑えられる可能性があります。
ただし、同じキャリバー名でも型番や製造時期によって仕様が異なる場合があります。
基本料金だけでなく、交換部品、保証、防水検査、納期、見積総額を比較して決めましょう。
Q4. 並行輸入品は正規サービスに出せますか?
A. 並行輸入品でも正規サービスへ相談できます。
以前は、日本国内の正規販売店で購入した時計を対象とする会員制度「エドワードクラブ」があり、会員向けにメンテナンス料金や部品代の割引が提供されていました。
しかし、エドワードクラブは2022年5月15日で新規登録を終了し、既存会員向けの特別なメンテナンス価格も2024年をもって終了しています。
現在は、正規購入品と並行輸入品で、基本的な修理価格の差は設けられていません。
インターネット上には「正規購入品なら修理料金が約30%安い」といった古い情報も残っていますが、現在の制度には当てはまらないため注意してください。
なお、購入時の国際保証を利用する場合は、保証カードの有効性や購入経路、保証条件の確認が必要です。
保証書と型番を用意し、タグホイヤーのカスタマーサービスへ確認してください。
Q5. 動いている時計にもオーバーホールは必要ですか?
A. 時計が動いていても、内部の潤滑油の劣化や部品の摩耗、防水パッキンの硬化が進んでいる場合があります。
ただし、動いているという理由だけで、直ちにコンプリートサービスが必要とは限りません。
精度、持続時間、巻き上げの感触、リューズ操作、防水性、前回の整備時期を確認しましょう。
異常が見られない場合は、まず部分メンテナンスや点検について相談し、必要な整備内容を判断する方法もあります。
まとめ:正規と専門店の選び分け
タグホイヤーの依頼先を選ぶときは、正規と専門店のどちらが優れているかを決めるのではなく、自分の時計に必要な条件を整理することが大切です。
まず、搭載ムーブメントを確認してください。
次に、時計の不具合が内部だけなのか、文字盤、針、リューズ、風防などの外装部品にも及んでいるのかを考えます。
最後に、料金、納期、保証、防水性能、オリジナル性のうち、何を優先するのかを決めましょう。
正規サービスが向いているケース
- ホイヤー01やホイヤー02などの自社製ムーブメント
- 純正の文字盤や針、リューズを交換したい
- 購入時のメーカー保証が残っている
- メーカー基準の24か月修理保証を重視する
- ヴィンテージのオリジナル性を守りたい
- スケルトンや複雑機構を搭載している
- ダイバーズウォッチの防水性能を重視する
専門修理店が向いているケース
- キャリバー5やキャリバー16など対応実績が多い
- 正規料金より費用を抑えたい
- 修理の納期を短くしたい
- 旧型クオーツを実用品として使い続けたい
- オーバーホールと外装仕上げをまとめて頼みたい
- 正規と専門店の両方から見積もりを比較したい
- メーカー保証がすでに終了している
依頼前に確認する順番
まず、保証書、裏蓋、購入記録から型番を調べます。
次に、クオーツか機械式か、3針かクロノグラフか、搭載ムーブメントは何かを確認してください。
そのうえで、時計の症状を整理します。
止まる、遅れる、進む、持続時間が短い、ボタンが戻らない、風防が曇るなど、気付いた変化をメモしておきましょう。
可能であれば、正規サービスと専門店の両方へ相談し、見積総額を比較します。
比較するときは、基本料金だけでなく、交換部品、研磨、防水検査、送料、納期、保証期間まで同じ表に書き出すと判断しやすいですよ。
見積もりを断ってもよい
時計を診断してもらったからといって、必ず修理を依頼しなければならないわけではありません。
見積もりが予算を大きく超えた場合は、一度返却してもらい、別の依頼先へ相談する方法もあります。
ただし、キャンセル料、見積料、返送料が発生するかは事前に確認してください。
見積もりの内容がわかりにくい場合は、「この部品を交換しないとどうなるのか」「今回必須の作業と任意の作業を分けてください」と質問しましょう。
研磨のように見た目を整える作業は任意でも、摩耗したゼンマイや防水性に関わるリューズの交換は、修理を完了するために必要と判断されることがあります。
最安値より時計との相性
依頼先選びで最も大切なこと
私たちが大切だと考えているのは、最安値ではなく、その時計に必要な作業を適正な価格で受けられることです。
正規料金が高いからといって、すべての時計で専門店が正解になるわけではありません。
自社製ムーブメントや専用外装部品を持つモデルでは、正規サービスの部品調達力とメーカー基準の検査に価値があります。
反対に、汎用ムーブメントを搭載したモデルで、純正外装部品の交換も必要ないなら、正規サービスだけに絞る必要もないでしょう。
技術力と実績のある専門店を選べば、費用と納期を抑えながら、必要な性能を回復できる可能性があります。
まずは時計の型番とムーブメントを確認し、正規サービスと対応実績のある専門店から見積もりを取ってください。
そのうえで、基本料金、交換部品、研磨、防水検査、納期、保証を同じ条件で比べれば、あなたのタグホイヤーに合う依頼先が見えてきます。
一般的な時計オーバーホールの費用構造については、時計のオーバーホール費用相場と見積もりの比較ポイントでも詳しく解説しています。
日常の手入れで負担を減らす
オーバーホール料金を完全に避けることは難しいものの、日常の扱い方で故障リスクを抑えることはできます。
着用後は柔らかい乾いた布で、ケース、裏蓋、ブレスレットに付着した汗や皮脂を拭き取りましょう。
リューズやプッシュボタン周辺に汚れをためないことも大切です。
革ベルトは水分に弱いため、汗を多くかいた日はしっかり乾燥させてください。
時計を高温多湿の場所、強い磁気を発する機器の近く、直射日光が当たる場所へ長時間置くことも避けたほうが安心です。
防水時計であっても、リューズが正しく閉まっているか確認し、温泉やサウナのように温度変化が大きい場所では使用しないようにしましょう。
日常の手入れには、柔らかい時計用クロスや保管ケースを使用すると、汗や皮脂による外装の劣化を抑えやすくなります。
Amazonで時計用のお手入れ用品を確認することもできます。
最後の注意
本記事の料金は一般的な目安であり、実際の修理代金、納期、修理可否を保証するものではありません。
料金区分や対象ムーブメント、MY TAG HEUERの延長保証対象、専門店の送料・保証・受付条件は変更される場合があります。
正確な情報はタグホイヤー公式サイトや依頼予定の修理店で確認し、最終的な判断は時計修理の専門家へ相談してください。
時計オーバーホール全体の判断基準はこちら
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時計のオーバーホールとは?意味・費用・必要性を初心者向けに解説
こんにちは、プライムラグジュアリーウォッチLabo 編集部です。 時計のオーバーホールと聞くと、「つまり掃除のこと?」「動いているならまだ不要では?」「費用が高そうで後回しにしたい」と感じる方も多いか ...
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