こんにちは、プライムラグジュアリーウォッチLabo 編集部です。
時計のオーバーホールを検討するとき、「結局いくらかかるの?」「料金表より高くなることはある?」「正規メーカーと修理専門店のどちらがよい?」と迷いますよね。
特にロレックスやオメガなどの高級時計では、正規メーカーと時計修理専門店で料金が大きく異なることがあります。
依頼先によっては数万円以上の差が生じるため、何を基準に選べばよいのかわからなくなるかもしれません。
大切な時計だからきちんと整備したいものの、必要のない部品交換や外装研磨にまで費用をかけたくない。
反対に、安さだけを優先して不十分な整備になるのも避けたいところです。
時計のオーバーホール費用は、ブランド名だけでは決まりません。
同じブランドの時計でも、ムーブメントの種類、クロノグラフなどの複雑機構、防水仕様、ケース素材、交換部品の有無によって、見積もり金額が大きく変わります。
同じモデルであっても、定期的に整備されてきた時計と、長期間オーバーホールをしていない時計では、内部部品の状態が異なります。
基本料金が同じでも、部品交換を含めた最終的な支払額には差が出る可能性があるんです。
特に注意したいのが、ウェブサイトに掲載された「○円から」という最低料金だけで依頼先を決めてしまうことです。
実際の支払額には、部品代、防水部品の交換費用、研磨費用、送料、キャンセル時の返送料などが加わる可能性があります。
この記事では、時計オーバーホールの費用相場を整理しながら、見積もり前に比較したいポイントをわかりやすく解説します。
初めてオーバーホールを依頼する方でも、見積書のどこを確認すればよいのか判断できる内容にまとめました。
この記事でわかること
- 時計オーバーホールの一般的な費用相場
- 基本料金以外に追加されやすい費用
- 正規メーカーと時計修理専門店の違い
- 見積もり前に確認したい注意点
先に結論を確認
オーバーホール費用はブランド名よりも、ムーブメント、複雑機構、防水仕様、部品交換の有無に大きく左右されます。
料金表の最低価格だけで決めず、正規メーカーと時計修理専門店の見積もり内容を比較してから依頼するのが、最も後悔しにくい選び方です。
比較するときは、基本料金だけでなく、交換部品、外装研磨、送料、キャンセル条件、修理後保証まで含めた総額で判断しましょう。
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時計のオーバーホール費用の相場

まずは料金の全体像をつかむ
時計オーバーホールの費用相場は、クォーツ式、一般的な機械式、クロノグラフなど、時計内部の構造によって変わります。
まずは大まかな価格帯を把握し、自分の時計がどの区分に当てはまるかを確認しましょう。
ただし、以下の金額はあくまで一般的な目安です。
ブランド、モデル、時計の状態、依頼先、部品の入手状況によって実際の料金は異なります。
| 時計の種類 | 専門修理店の費用目安 | 費用が変わる主な要因 |
|---|---|---|
| クォーツ式 | 約1万円~2万5,000円 | 回路、コイル、電池、パッキンの状態 |
| 機械式3針 | 約2万円~5万円 | 自動巻き、手巻き、部品交換、防水仕様 |
| クロノグラフ | 約3万円~8万円 | 部品数、機構、調整難易度 |
| 複雑機構 | 約10万円以上 | 永久カレンダー、トゥールビヨンなど |
上記は、主に民間の時計修理専門店へ依頼する場合の大まかな価格帯です。
正規メーカーでは、モデルやサービス内容によって、これより高い料金が設定されていることがあります。
正規メーカーでは、点検、部品交換、防水検査、外装仕上げなどが、一つのサービスとして組み込まれている場合があります。
そのため、専門修理店より基本料金が高く見えることがありますが、含まれる作業が違うため、単純な金額だけでは比較できません。
実際に正規メーカーの料金を見ると、ブランドやモデルによる差の大きさがわかります。
以下は、ファクトチェック時点で確認されている基本料金の一例です。
正規メーカーの料金例
| ブランド・モデルの例 | 正規基本料金の目安 | 確認したい注意点 |
|---|---|---|
| ロレックスの一部3針モデル | 82,500円から | 部品代や外装部品代は別途となる場合がある |
| ロレックスのスポーツモデルなど | 99,000円以上が中心 | モデルや防水仕様で料金が変わる |
| ロレックス デイトナ・デイデイト | 110,000円から | クロノグラフや貴金属仕様は高額になりやすい |
| オメガ 機械式クロノグラフ・ステンレス | 165,000円 | 2026年改定後の料金目安 |
| オメガ 機械式クロノグラフ・ゴールドやコンビ | 198,000円 | ケース素材によって料金区分が変わる |
| オメガ 特殊キャリバー搭載モデル | 385,000円 | 特殊機構や本国対応ではさらに確認が必要 |
ロレックスでは、比較的シンプルなモデルでも基本料金が8万円台からとなり、多くのモデルでは9万円台以上が一つの目安です。
デイトナやデイデイトなどでは、基本料金だけで11万円以上になる場合があります。
オメガでは、2026年の料金改定により、機械式クロノグラフのステンレスモデルが16万5,000円、ゴールドやコンビモデルが19万8,000円、特殊キャリバー搭載モデルでは38万5,000円という料金区分も確認されています。
これらはあくまで基本料金の目安であり、時計の状態によってはリューズ、風防、針、文字盤、ブレスレットなどの交換費用が加わります。
注意:メーカー料金は改定されます
正規メーカーの料金やサービス内容は、価格改定によって変わることがあります。
掲載金額は一般的な目安として捉え、依頼時には必ず各メーカーの公式窓口で最新料金を確認してください。
基本料金と最終支払額は分けて考える
オーバーホール料金を調べるときは、「基本料金」と「最終支払額」を分けて考える必要があります。
基本料金とは、ムーブメントを分解し、洗浄、注油、組み立て、精度調整を行うための技術料です。
一方の最終支払額は、基本料金に交換部品代や外装作業費などを加えた、実際に支払う金額を指します。
たとえば、基本料金が3万円でも、ゼンマイ、パッキン、リューズの交換が必要になれば、総額は4万円や5万円を超えるかもしれません。
反対に内部状態が良好で、交換部品がほとんどなければ、基本料金に近い金額で収まることもあります。
正規メーカーで基本料金が10万円と案内されていても、必ず10万円で完了するわけではありません。
摩耗した内部部品や防水部品が見つかれば、数万円単位の追加費用が必要になる可能性があります。
料金表を見るときのポイント
ネット上の料金表は、時計を開ける前の目安です。
外観からは内部の摩耗や錆を完全には判断できません。
正確なオーバーホール料金を知るには、型番を伝えるだけでなく、実物を点検してもらう必要があります。
なお、オーバーホールと故障箇所だけを直す修理は目的が異なります。
違いから確認したい方は、オーバーホールと修理の違いを解説した記事も参考にしてください。
クォーツ式の費用目安
クォーツ式時計のオーバーホール費用は、一般的に機械式時計より低くなる傾向があります。
民間の時計修理専門店では、シンプルな2針や3針モデルなら、1万円前後から2万5,000円程度が一つの目安です。
クォーツ式は、電池や二次電池から供給された電気で回路とステップモーターを動かし、歯車を進める仕組みです。
機械式に比べると物理的な部品が少ないため、分解、洗浄、組み立てに必要な作業時間も比較的短くなります。
そのため、機械式時計より基本料金を抑えやすいのですが、クォーツ式なら必ず安く済むわけではありません。
クォーツ式で追加費用が出やすい症状
電子回路の故障、コイルの断線、電池の液漏れ、歯車の腐食などが見つかると、部品交換費用が追加されます。
電池切れの状態で長期間放置すると、電池から液が漏れ、回路や端子に腐食が広がることがあります。
液漏れの範囲が広ければ、電池を交換するだけでは動かず、回路やムーブメント一式の交換が必要になるかもしれません。
古いモデルでは純正部品がすでに生産終了となり、修理そのものが難しい場合もあります。
部品が見つかっても、取り寄せ費用や別作部品の製作費用によって、一般的なクォーツ式の相場を大きく超えることがあります。
秒針が数秒ずつまとめて動く症状は、電池残量の低下を知らせる機能である可能性があります。
ただし、ブランドやムーブメントによって意味は異なるため、取扱説明書を確認してください。
また、ダイバーズウォッチや高防水モデルでは、電池交換だけでなく、パッキン交換や防水検査まで必要になることがあります。
時計が動いているからといって、防水性能まで維持されているとは限りません。
電池交換後も動かないとき
電池を交換しても動かない場合は、単なる電池切れではなく、回路や内部機構に不具合がある可能性があります。
何度も電池交換を試すより、時計修理店で内部点検を受けた方が、原因を早く特定できることがあります。
ソーラー時計や電波時計は別に考える
ソーラー時計や電波時計、GPS時計では、一般的なクォーツ時計とは修理内容が異なります。
ソーラー時計には、充電した電気を蓄える二次電池が使われています。
一般的なボタン電池と同じ感覚で交換できるとは限らず、発電部品や回路を含めた点検が必要になる場合があります。
電波時計やGPS時計は、受信部品、アンテナ、専用回路などを搭載しています。
これらの部品はブランド独自の仕様であることが多く、民間修理店では入手できないため、メーカー対応が基本となるモデルも少なくありません。
クォーツ式の見積もりを依頼するときは、「電池式」「ソーラー式」「電波式」などの違いも伝えましょう。
裏蓋に記載された型番やキャリバー番号がわかれば、対応の可否を判断してもらいやすくなりますよ。
機械式時計の費用目安
一般的な機械式時計のオーバーホール費用は、時計修理専門店で2万円から5万円程度が目安です。
海外の高級ブランドや自社製ムーブメントを搭載したモデルでは、さらに高くなる場合があります。
機械式時計の内部には、ゼンマイ、歯車、脱進機、テンプ、自動巻き機構など、多数の細かな部品が組み込まれています。
オーバーホールでは、ケースからムーブメントを取り出し、針と文字盤を外したうえで、内部部品を一つずつ分解します。
その後、古い潤滑油や金属粉を洗浄し、摩耗や錆がないかを点検してから、再び組み立てて注油と精度調整を行います。
つまり、機械式時計のオーバーホール料金は、単なる清掃代ではありません。
分解、点検、洗浄、注油、組み立て、精度調整、防水検査という一連の技術料が含まれています。
セイコーの公式案内でも、分解掃除では状態確認、洗浄、ムーブメントの分解、部品点検、注油、精度確認、防水検査などが行われると説明されています。
オーバーホールが多くの工程を必要とする作業だとわかりますね。
手巻きと自動巻きでも費用は変わる
手巻き時計は、リューズを回してゼンマイを巻き上げる構造です。
自動巻き用のローターや巻き上げ機構がないため、同じブランドの自動巻きモデルより構造がシンプルな場合があります。
ただし、手巻き時計には古いモデルやアンティーク時計も多く、経年劣化による摩耗、錆、部品不足が見つかりやすい点には注意が必要です。
構造がシンプルでも、部品の入手が難しければ修理費用は上がります。
自動巻き時計には、腕の動きでローターを回し、ゼンマイを巻き上げる機構が追加されています。
ローター軸、切替車、巻き上げ車などが摩耗していれば、交換や修正が必要です。
時計を振ったときにローターから大きな音がする、ローターがケース内部へ接触しているように感じる、着用しても駆動時間が伸びないといった場合は、自動巻き機構に不具合がある可能性があります。
同じ3針でもムーブメントで難易度が違う
同じ3針モデルでも、一般的な汎用ムーブメントと、ブランド独自の自社製ムーブメントでは作業難易度が異なります。
広く普及したムーブメントは、修理経験を持つ技術者が比較的多く、交換部品も入手しやすい傾向があります。
一方、自社製ムーブメントでは専用工具や特殊な注油方法が必要となり、対応できる技術者が限られることがあります。
メーカーが外部へ部品を供給していない場合は、民間修理店で分解できても、摩耗した部品を交換できません。
その場合、正規メーカーへ送り直すことになり、送料や点検期間が余計にかかる可能性があります。
◆プライムラグジュアリーウォッチLabo 編集部のワンポイントアドバイス
ただ、油切れが進んだ時計は、動いていても部品同士が乾いた状態でこすれ続けていることがあります。
異音、巻き上げの重さ、急な日差の悪化があれば、早めに点検を受けるのがおすすめです。
機械式時計を長期間オーバーホールしない場合のリスクについては、機械式時計のオーバーホールは10年不要なのかを検証した記事で詳しく解説しています。
クロノグラフの料金目安
クロノグラフは、時刻表示に加えてストップウォッチ機能を備えた時計です。
一般的な3針時計より部品数が多く、分解や組み立て、調整に時間がかかるため、オーバーホール料金も高くなります。
時計修理専門店では、機械式クロノグラフの費用は3万円から8万円程度が一つの目安です。
高級ブランドの正規サービス、自社製クロノグラフ、複雑な構造を持つモデルでは、10万円を超えることもあります。
正規メーカーでは、ロレックスのデイトナが11万円から、オメガの機械式クロノグラフが16万5,000円からという料金例もあります。
同じクロノグラフでも、ブランド、ムーブメント、ケース素材によって大きな差があることがわかります。
クロノグラフには、スタート、ストップ、リセットを制御するレバーやカム、歯車、クラッチなどが追加されています。
部品を組み上げるだけでなく、クロノグラフ秒針が正確にゼロへ戻るか、積算計が正しく進むか、各ボタンが適切な力で作動するかまで細かく調整しなければなりません。
クロノグラフで確認したい不具合
クロノグラフを動かしたときだけ時計が止まる、リセット後に針がゼロへ戻らない、ボタンが重いといった症状がある場合は、通常のオーバーホールだけでなく部品交換が必要になる可能性があります。
スタートした瞬間にクロノグラフ秒針が大きく飛ぶ症状や、作動中に時計全体の精度が急に悪化する症状も、内部調整が必要なサインかもしれません。
プッシュボタン周辺には、防水性を保つためのパッキンが使われています。
ボタンの動きが悪いからといって、無理に何度も押すと、内部部品や防水部品へ負担をかける可能性があります。
クロノグラフ操作時の注意
水中や時計が濡れている状態で、クロノグラフのボタンを操作してはいけないモデルがあります。
防水性能や操作条件はモデルによって異なるため、必ず取扱説明書を確認してください。
クロノグラフは「3針モデルと同じブランドだから同じくらいの料金」と考えないことが大切です。
同じシリーズ名でも、3針モデルとクロノグラフモデルでは、見積もりが数万円以上変わることがあります。
問い合わせるときは、ブランド名だけでなく、型番とムーブメントの種類まで伝えると話がスムーズですよ。
また、クォーツクロノグラフと機械式クロノグラフでも料金は異なります。
文字盤上に複数のインダイヤルがあるからといって、すべて同じ料金区分になるわけではありません。
オーバーホール料金が変わる理由

同じブランドでも料金が違う理由
時計のオーバーホール料金を左右するのは、ブランドの知名度だけではありません。
内部機構の複雑さ、防水性能、ケース素材、部品の入手性、故障の程度などが組み合わさって最終的な費用が決まります。
ここを理解しておくと、「なぜ同じブランドなのに見積もりが違うのか」「なぜ料金表より高くなったのか」が見えやすくなります。
料金を左右する条件
| 料金を左右する項目 | 安くなりやすい条件 | 高くなりやすい条件 |
|---|---|---|
| ムーブメント | 一般的な2針・3針 | 自社製・複雑機構 |
| 防水仕様 | 日常生活防水 | 高防水・ダイバーズ仕様 |
| 外装素材 | 一般的なステンレス | 貴金属・特殊加工・セラミック |
| 部品状態 | 摩耗や錆が少ない | 破損・腐食・水入りがある |
| 部品供給 | 交換部品を入手しやすい | 生産終了・メーカー限定供給 |
ムーブメントと複雑機構
オーバーホール費用に最も大きく影響するのが、時計に搭載されているムーブメントです。
一般的な3針ムーブメントは、構造が比較的シンプルで、修理経験を持つ技術者も多いため、料金が安定しやすいです。
一方、クロノグラフ、永久カレンダー、トゥールビヨン、ミニッツリピーターなどは、部品数と調整箇所が大幅に増えます。
永久カレンダーは、月ごとの日数やうるう年を機械的に判断するため、多数の歯車やレバーが連動します。
ミニッツリピーターでは、現在時刻を音で知らせるための複雑な打刻機構が組み込まれています。
複雑機構では、一つの歯車を取り付ける位置がわずかにずれただけでも、カレンダーや時刻表示が正常に動かなくなることがあります。
組み立て後の確認にも長い時間が必要となり、担当できる技術者も限られます。
自社製ムーブメントは部品供給も確認する
さらに注意したいのが、ブランド独自の自社製ムーブメントです。
独自構造のムーブメントでは、専用工具や専用の油が必要になることがあります。
メーカーが外部の修理店へ部品を供給していない場合、技術的には分解できても、交換部品を入手できないため修理できないケースがあります。
これは、民間修理店の技術力が低いという意味ではありません。
部品が市場へ流通していなければ、どれほど技術力が高くても完全な修理は難しいんです。
見積もり前には、時計修理店へ「このムーブメントの修理実績があるか」「交換部品を調達できるか」「修理できない場合の点検料や返送料はいくらか」を確認しましょう。
購入時から維持費を考える
ムーブメントが特殊だからといって、時計の品質が悪いわけではありません。
ただし、特殊な構造ほど依頼先が限られ、将来の維持費が高くなる可能性があります。
時計を購入するときは、本体価格だけでなく、長期的なメンテナンス費用も考えておくと安心です。
グランドセイコーのように、クォーツ、メカニカル、スプリングドライブで修理内容が大きく異なるブランドもあります。
詳しくは、グランドセイコーのオーバーホール料金と放置リスクの記事をご覧ください。
防水仕様と外装素材
時計の防水仕様もオーバーホール料金に影響します。
一般的な日常生活防水時計であれば、標準的な防水検査で対応できます。
一方、ダイバーズウォッチや高い耐圧性能を持つ時計では、専用の検査機器とより厳密な確認が必要です。
防水性能は、ケース自体の丈夫さだけで保たれているわけではありません。
裏蓋、リューズ、風防、クロノグラフのプッシュボタンなどに使われるパッキンが、内部への水分の侵入を防いでいます。
パッキンはゴム製の消耗部品なので、時計を使っていなくても時間とともに硬化します。
外見上は問題がなくても、弾力が失われて密閉性が低下しているかもしれません。
そのため、オーバーホール時にはパッキン交換と防水検査が追加されることが一般的です。
防水検査を省くリスク
オーバーホール後に裏蓋やリューズを組み直した時計は、防水検査を行わなければ、元の防水性能が維持されているか確認できません。
費用を抑えるために防水検査を省きたくなるかもしれませんが、日常的に着用する時計や、水に触れる可能性がある時計では慎重に判断してください。
特にダイバーズウォッチは、見た目が頑丈でも、パッキンやリューズの状態が悪ければ水分が侵入します。
海やプールで使う予定がある場合は、オーバーホール後の防水検査内容を確認しておきましょう。
高い防水性能を持つモデルでは、一般的な防水試験機ではメーカー基準まで確認できないことがあります。
専門店へ依頼する場合は、所有モデルの防水性能に対応した検査設備があるかを確認してください。
素材によって研磨の難易度が変わる
ケースやブレスレットの素材も、作業の難易度を左右します。
ステンレススチールは比較的扱いやすい素材ですが、金、プラチナ、特殊なコーティング、セラミックなどは、傷や欠けを防ぐために慎重な作業が必要です。
金やプラチナなどの貴金属は柔らかく、工具を当てた際に傷が入りやすい素材です。
研磨によってケースの形状が変わりやすく、作業経験の差が仕上がりに表れることがあります。
セラミックは傷に強い反面、強い衝撃で欠けたり割れたりする可能性があります。
一般的な金属と同じ方法では研磨できず、部品交換が必要になることもあります。
表面へコーティングが施された時計では、研磨によってコーティングが薄くなったり、色むらが生じたりする可能性があります。
研磨対応不可となるモデルもあるため、見積もり前に確認が必要です。
ヴィンテージ時計の研磨は慎重に
ヴィンテージ時計や資産価値を重視する時計では、外装研磨を自動的に付けない方がよい場合があります。
見積もり時に「研磨を希望するか」「研磨なしを選べるか」を確認し、時計の状態や将来の売却予定も踏まえて判断しましょう。
特に貴金属ケースは、傷を消そうとして磨きすぎると、ケースのエッジが丸くなったり、ラグが細くなったりする可能性があります。
研磨による形状変化や資産価値への影響が気になる方は、ロレックスの研磨痩せと価値への影響を解説した記事も参考にしてください。
交換部品による追加費用
時計オーバーホールの最終料金が、ウェブサイトの基本料金より高くなる最大の理由が交換部品です。
オーバーホールの基本料金には、分解、洗浄、注油、組み立て、精度調整などが含まれます。
しかし、摩耗や破損した部品を新品へ交換する費用は、基本料金とは別に請求されることが一般的です。
追加されやすいのは、パッキン、ゼンマイ、リューズ、チューブ、歯車、風防、針、文字盤、クロノグラフのプッシュボタンなどです。
交換されやすい部品
| 交換部品 | 交換が必要になる主な理由 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| パッキン | 硬化、ひび割れ、防水性低下 | 比較的小さい |
| ゼンマイ | 切れ、弾力低下、巻き上げ不良 | 数千円以上の追加になりやすい |
| リューズ・チューブ | 摩耗、ねじ込み不良、防水不良 | モデルにより差が大きい |
| 歯車・自動巻き部品 | 油切れ、摩耗、衝撃による破損 | 部品数に応じて増加 |
| 風防・文字盤・針 | 割れ、腐食、夜光劣化 | 高額になる場合がある |
交換必須と任意作業を分けて確認する
見積書に複数の交換部品が書かれていたら、すべてが同じ優先度とは限りません。
時計を正常に動かすために必須となる内部部品もあれば、見た目を整えるための外装部品や、将来の不具合を防ぐための予防交換もあります。
たとえば、折れたゼンマイや摩耗した歯車は、時計を動かすために交換が必要です。
一方、表面が変色した針や細かな傷がある風防は、機能へ影響しない範囲であれば、交換を見送れる場合があります。
ただし、針や文字盤の腐食が進み、錆や塗料片がムーブメント内部へ落ちるおそれがある場合は、見た目の問題だけではありません。
交換を勧められた理由を確認しましょう。
正規メーカーでは、ブランドが定める品質や防水性能を保証するため、一定の部品交換を必須条件とすることがあります。
依頼者が交換を希望しなくても、その部品を交換しなければ修理を受け付けてもらえない場合があります。
民間修理店では、必要性を説明したうえで、予算に合わせて作業範囲を相談できることがあります。
ただし、必要な部品交換を断れば、修理保証や防水保証の対象外になる可能性があります。
放置期間が長いほど部品代が増えるとは限らない
長期間オーバーホールをしていないからといって、必ず多くの部品交換が必要になるわけではありません。
使用頻度、保管環境、ムーブメントの状態によって結果は変わります。
軽度の油切れだけであれば、基本料金に近い金額で収まることもあります。
一方、油が切れた状態で長期間使用していた時計では、歯車の軸や受け石が摩耗し、複数の部品交換が必要になることがあります。
水入りした時計では、文字盤や針の腐食、歯車の錆、回路の故障などが同時に起きる可能性があります。
風防の内側が曇った場合は、自然に曇りが消えても内部の水分までなくなったとは限りません。
風防の内側が曇ったら早めに相談
風防の内側に曇りや水滴が見えた場合は、時計の使用を止め、できるだけ早く専門店へ相談してください。
内部へ入った水分を放置すると、時間の経過とともに錆が広がり、修理費用が大きくなる可能性があります。
高額な部品交換を避けるためには、異常を感じたまま使い続けないことが大切です。
見積もりを受け取ったら、交換部品の名前だけでなく、「なぜ交換が必要なのか」「交換しなかった場合にどのような問題があるのか」「交換前の部品を返却してもらえるか」まで確認しましょう。
正規メーカーと専門店の違い

依頼先ごとの強みを比較する
時計のオーバーホールは、主に正規メーカーと民間の時計修理専門店へ依頼できます。
正規メーカーはブランド基準に沿った整備と純正部品の供給に強く、時計修理専門店は料金や修理内容の柔軟性に強みがあります。
どちらが優れているかではなく、所有する時計と希望する仕上がりに合うかで判断しましょう。
正規メーカーと専門店の比較
| 比較項目 | 正規メーカー | 時計修理専門店 |
|---|---|---|
| 料金 | 比較的高い傾向 | 抑えられる場合がある |
| 使用部品 | 原則として純正部品 | 純正または互換部品 |
| 特殊ムーブメント | 対応しやすい | 対応できない場合がある |
| 作業内容の相談 | 基準により選択できない場合がある | 柔軟に相談できる場合がある |
| 外装研磨 | サービスに含まれる場合がある | 有無を選べる場合が多い |
| 修理記録 | メーカーのサービス記録 | 店舗独自の修理明細 |
正規メーカーのメリット
正規メーカーへ依頼する大きなメリットは、そのブランドが定めた基準で点検と整備を受けられることです。
ムーブメントの分解、部品交換、精度調整、防水検査、外装の確認まで、モデルごとに定められた手順で作業が行われます。
必要な部品も原則として純正部品が使われるため、真正性を重視する方には安心感があります。
また、自社製ムーブメント、特殊な防水構造、独自の電子制御機構など、一般の修理店では対応しにくい時計でも受け付けてもらえる可能性があります。
正規メーカーが向いている時計
希少な自社製ムーブメント、複雑機構、スプリングドライブなどの独自機構を搭載した時計は、正規メーカーが有力な選択肢です。
購入から日が浅い時計や、メーカー保証が残っている時計も、まず正規窓口へ相談した方がよいでしょう。
保証期間内であっても、定期的なオーバーホールや使用者の過失による故障は有料になることがありますが、保証対象かどうかを判断してもらえます。
将来的に時計を売却する予定がある場合は、正規メーカーの修理明細やサービス記録が、適切なメンテナンスを受けてきた証明になることもあります。
ただし、正規修理へ出しただけで、必ず査定額が修理費用以上に上がるわけではありません。
売却直前に高額なオーバーホールを行う場合は、先に買取査定を受けた方がよいケースもあります。
部品交換の基準が厳しい理由
正規メーカーではブランドの品質基準を満たすため、部品交換の判断が厳しくなる傾向があります。
依頼者が「まだ使えるので交換しなくてよい」と考えても、メーカー側が正常な機能や防水性能を保証できないと判断すれば、交換を前提とした見積もりになる場合があります。
これは不要な交換を増やすためではなく、修理完了後の時計をメーカー基準に合わせ、一定期間の保証を付けるためです。
ただし、ヴィンテージ時計では、文字盤や針を新品へ交換すると、経年変化による雰囲気やオリジナル性が失われる可能性があります。
資産価値や見た目を重視する場合は、交換前に十分な確認が必要です。
正規見積もりで確認すること
正規メーカーの見積もりでは、どの交換が必須で、どの作業が任意なのかを確認してください。
外装部品の交換や研磨を希望しない場合は、受付時点で要望を伝えましょう。
ただし、メーカーの品質基準によっては、一部の作業だけを断れないこともあります。
正規メーカーが向いているのは、純正状態を重視する方、特殊ムーブメントを搭載した時計、メーカー保証や修理記録を残したい方です。
時計修理専門店のメリット
時計修理専門店のメリットは、正規メーカーより料金を抑えられる可能性があり、修理内容について相談しやすいことです。
店舗や工房が直接修理を行う業者では、中間費用を抑えられるため、同じような分解掃除でも正規メーカーより基本料金が低く設定されている場合があります。
また、「今回は内部のオーバーホールを優先したい」「外装研磨はしないでほしい」「交換部品を最小限にしたい」といった要望を相談できる業者もあります。
メーカーで修理受付を終了した古い時計でも、独自の部品調達ルートや部品製作の技術を持つ専門店なら、修理できる可能性があります。
安さだけで選ばない
民間の時計修理専門店は、店舗ごとに技術力や設備、得意なブランドが異なります。
料金が安いという理由だけで選ぶのはおすすめできません。
依頼前には、対応ブランド、修理実績、技術者の資格、防水検査設備、使用部品、修理後保証などを確認しましょう。
国家資格である時計修理技能士が在籍しているかは、一つの判断材料になります。
ただし、資格があるだけで、すべての高級時計や複雑機構へ対応できるとは限りません。
所有するブランドやモデルの修理実績も合わせて確認してください。
ウェブサイトに具体的な修理事例や料金内訳が掲載されている業者は、比較しやすいです。
修理前後の写真だけでなく、交換した部品や不具合の原因まで説明されているかを見るとよいでしょう。
専門店へ確認したい項目
専門店へ依頼する前の確認項目
- 所有モデルの修理実績
- 使用する部品の種類
- 外装研磨の有無
- 防水検査の設備と範囲
- 見積もり後の追加料金
- 修理後保証の期間と対象範囲
- キャンセル時の点検料と返送料
時計を別の工房へ再委託する店舗もあります。
再委託自体が悪いわけではありませんが、実際にどこで修理するのか、問い合わせや再修理の窓口がどこになるのかは確認しておきましょう。
アンティーク時計や部品の少ないモデルでは、修理に数か月かかることがあります。
料金だけでなく、納期の目安も確認してください。
◆プライムラグジュアリーウォッチLabo 編集部のワンポイントアドバイス
交換理由や修理後の保証について質問したとき、時計に詳しくない人にも理解できるよう説明してくれる業者は、相談しやすいかなと思います。
高級時計の見積もりを比較する方法
ロレックスやオメガなどのオーバーホール費用を比較したい方は、シエンで実物を確認したうえで見積もりを取る方法があります。
シエンでは、オーバーホールの基本料金がブランドや機構別に案内されていますが、実際の修理料金は技術者による診断後に確定します。
基本料金だけでは判断できないため、部品交換、研磨、送料、保証を含めた総額を確認してから検討しましょう。
時計修理専門店が向いているのは、費用を抑えながら内部機構を整備したい方、正規メーカーと見積もりを比較したい方、研磨や交換部品について相談したい方です。
並行輸入品の受付条件
並行輸入品とは、国内の正規代理店とは異なる流通経路で輸入された時計です。
時計自体が本物であっても、国内正規品とは保証や修理料金の条件が異なる場合があります。
ブランドによっては、正規品と並行輸入品を同じ条件で受け付けています。
一方で、国内正規店で購入した時計に会員料金を設定したり、並行輸入品へ異なる料金を適用したりするブランドもあります。
料金差が小さいブランドもあれば、正規購入者向けの料金と標準料金で2倍以上の差が生じるブランドもあります。
購入時の価格だけではなく、将来の維持費まで確認しておくことが重要です。
中古時計も登録状況を確認する
中古で購入した時計も注意が必要です。
保証書が付いていても、購入者情報や登録状況によって、会員向けサービスを引き継げないことがあります。
保証書の日付、販売店名、個体番号が確認できるかも見ておきましょう。
保証書がない時計でも有料修理を受けられるブランドはありますが、ブランドやモデルによって対応は異なります。
中古時計の中には、過去の修理で純正ではない部品が使われている個体もあります。
メーカー基準から外れた改造や部品交換が確認された場合、正規修理を断られたり、純正状態へ戻すための追加費用が必要になったりする可能性があります。
民間修理店でも対応できない場合がある
民間の時計修理専門店では、正規品と並行輸入品を区別せず受け付ける業者が多いです。
ただし、メーカーから部品が供給されていないムーブメントや、特殊な機構を持つモデルは対応できない場合があります。
また、真贋を確認できない時計や、大幅な改造が行われた時計は、修理受付の対象外となることがあります。
時計を発送する前に、保証書や修理履歴の有無を伝えておくと、受付後のトラブルを減らせます。
並行輸入品の料金差を考える際には、具体例を見るとわかりやすいです。
並行輸入品の料金差の例
| ブランド・条件の例 | 料金の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| ブライトリングのクロノグラフ・正規メンバー料金 | 約9万円から | 登録条件やモデルによって異なる |
| ブライトリングのクロノグラフ・標準料金 | 約20万円から | 並行輸入品などでは標準料金となる場合がある |
| フランクミュラーの自動巻き3針・専門店 | 約2万5,300円~3万5,000円 | モデル、部品交換、店舗によって異なる |
| フランクミュラーのクロノグラフ・専門店 | 約3万5,200円~5万円 | 特殊機構や交換部品は別料金となる場合がある |
ブライトリングのクロノグラフでは、正規購入者向けのメンバー特別価格が約9万円からであるのに対し、並行輸入品などに適用される標準価格が約20万円からとなる例があります。
条件によっては、2倍以上の差が生じることもあります。
フランクミュラーでは、並行輸入品の正規メンテナンス受付が難しい場合があります。
一方、対応実績のある時計修理専門店では、自動巻き3針モデルを約2万5,300円から3万5,000円、クロノグラフを約3万5,200円から5万円程度で受け付ける例があります。
ただし、これらの金額は基本料金や一般的な修理例であり、部品交換、外装仕上げ、特殊機構の有無によって変わります。
また、メーカーや専門店の料金制度は改定されるため、現在の受付条件と料金を必ず確認してください。
並行輸入品でも正規修理できる場合はある
並行輸入品だから必ず正規修理が受けられないわけではありません。
対応はブランドや国内代理店の方針によって異なり、料金制度が変更されることもあります。
正確な情報は、各ブランドの公式サイトや正規サービス窓口へご確認ください。
並行輸入品を購入するときは、本体価格の安さだけでなく、将来のオーバーホール料金と受付条件まで確認しておくことが大切です。
購入価格が数万円安くても、正規メンテナンスの料金差が大きければ、長期的な総費用では割安にならない可能性があります。
時計を何年使う予定なのかも考えて選びましょう。
見積もり前に確認するポイント

最低料金ではなく見積もりの中身を見る
オーバーホールの見積もりを比較するときは、最初に表示された金額だけを見ないようにしましょう。
基本料金に含まれる作業、追加部品代、キャンセル料、送料、修理後保証などを同じ条件にそろえて比較すると、本当に納得できる依頼先を選びやすくなります。
見積もり前に自分の希望を整理することも大切です。
内部の整備を最優先するのか、外装も新品に近づけたいのか、純正部品や修理記録を重視するのかによって、適切な依頼先は変わります。
見積もり依頼時に伝えること
- ブランド名と型番
- 購入時期
- 前回のオーバーホール時期
- 現在の症状
- 落下や水入りの有無
- 外装研磨を希望するか
- 交換してほしくない部品があるか
基本料金と部品代の内訳
見積もりで最初に確認したいのが、基本料金に何が含まれているかです。
一般的なオーバーホール基本料金には、ムーブメントの分解、洗浄、注油、組み立て、精度調整が含まれます。
ただし、防水検査、パッキン交換、外装洗浄、研磨、送料などは別料金になることがあります。
正規メーカーでは外装仕上げや防水部品の交換がセットになっている場合があり、専門店では必要な作業を個別に選べる場合があります。
そのため、「正規メーカーは8万円、専門店は4万円」と金額だけを並べても、同じ内容を比較しているとは限りません。
見積もりを比較するときは、次のように考えるとわかりやすいです。
最終支払額の考え方
最終支払額=オーバーホール基本料金+交換部品代+外装作業費+送料や手数料
見積書で確認したい具体的な項目
見積書のチェック項目
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| オーバーホール基本料金 | 分解・洗浄・注油・調整の範囲を知るため |
| 交換部品名と価格 | 追加料金の根拠を知るため |
| 交換が必須か任意か | 予算に合わせて判断するため |
| 外装研磨の有無 | 意図しない研磨を防ぐため |
| 防水検査の内容 | 使用環境に合う検査か確認するため |
| 送料・手数料 | 最終的な総額を把握するため |
| 保証期間と対象範囲 | 修理後の不具合へ備えるため |
たとえば、基本料金が3万円でも、ゼンマイ、パッキン、リューズを交換し、外装研磨を追加すれば、最終的な支払額が5万円以上になることがあります。
逆に、基本料金が少し高く見えても、パッキン交換、防水検査、外装洗浄、修理保証まで含まれていれば、追加料金が少なく済む可能性があります。
見積書を受け取ったら、「一式」という表記だけで判断せず、交換部品と作業内容が分かれて記載されているか確認しましょう。
交換部品については、純正部品なのか、同等品質の互換部品なのかも大切です。
資産価値や純正状態を重視する場合は、使用する部品について必ず質問してください。
古い時計では、新品の純正部品ではなく、中古部品や別作部品が使われることがあります。
その場合は、部品の入手経路、保証対象になるか、外観や機能へ違いが出るかを確認しましょう。
安い見積もりと高い見積もりを比べるときは、金額ではなく、同じ作業内容になっているかを確認することが重要です。
キャンセル料と返送料
見積もりが無料と書かれていても、キャンセル時の費用まで無料とは限りません。
時計の状態を正確に確認するには、裏蓋を開けてムーブメントを点検する必要があります。
業者によっては、分解点検後に修理をキャンセルすると、見積もり手数料や点検料が発生します。
また、宅配で時計を送った場合、発送時の送料は無料でも、キャンセル後の返送料は依頼者負担になることがあります。
海外の本社や修理拠点へ送られた後にキャンセルすると、国内点検より高い手数料や往復送料が発生する可能性があります。
具体例として、オメガでは国内で見積もりを行った後のキャンセルに3,300円、スイス本国へ送付した後のキャンセルに1万6,500円が必要となる料金例があります。
ブランドや修理内容によっては、海外への送料、保険料、点検費用などを含め、キャンセル時に3万円前後の費用が発生するケースもあります。
キャンセル料の例
| キャンセルの状況 | 費用例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| オメガの国内見積もり後 | 3,300円 | 国内点検の段階で断った場合 |
| オメガのスイス送り後 | 16,500円 | 本国送付後は送料や点検負担が大きい |
| 一部ブランドの海外見積もり | 3万円前後となる場合がある | 送料、保険料、点検料の内訳を確認 |
料金や受付条件は変更される可能性があります。
時計を預ける前に、現在のキャンセル料と、どの段階から費用が発生するのかを確認してください。
見積もり無料だけで判断しない
次の条件まで確認しておきましょう。
- 修理を断った場合のキャンセル料
- キャンセル後の返送料
- 分解後の復旧費用
- 海外送りになった場合の手数料
- 部品発注後のキャンセル条件
相見積もりは条件を確認してから取る
相見積もりを考えている場合は、時計を送る前にキャンセル条件を確認しましょう。
無料で比較できると思って複数社へ送ると、返送料や点検料が積み重なることがあります。
また、時計を何度も配送することで、紛失や破損のリスクも増えます。
まずは型番と症状を伝え、概算料金と対応可否を問い合わせましょう。
そのうえで候補を2社程度に絞り、実物見積もりを依頼する方法が現実的です。
ただし、電話やメールで提示された金額は、実物を開ける前の概算です。
時計が到着した後の正式見積もりと差が出る可能性があります。
見積もりの有効期限も確認する
見積もりの有効期限にも注意が必要です。
部品価格や為替の変動により、一定期間を過ぎると同じ金額で修理できない場合があります。
取り寄せ部品が必要な場合は、見積もりへ同意した時点で部品を発注することがあります。
同意後のキャンセルでは、部品代や手数料が発生する可能性があるため、規約を確認してください。
キャンセル条件がウェブサイトに見当たらない場合は、問い合わせフォームやメールで確認し、回答を保存しておくと安心ですよ。
修理保証と配送補償
オーバーホールは、時計が戻ってきた時点で終わりではありません。
修理後に精度不良や動作不良が起きた場合、どこまで無償で再調整してもらえるかを確認する必要があります。
民間の時計修理専門店では、6か月から1年程度の修理保証を設けていることがあります。
ただし、保証期間が同じでも、対象となる症状や免責条件は業者によって異なります。
落下、衝撃、水没、磁気帯び、誤操作、外装の傷などは、通常の修理保証の対象外になることが一般的です。
また、アンティーク時計では、部品の劣化や防水性の確保が難しいことを理由に、保証期間が短くなったり、防水保証が付かなかったりする場合があります。
保証については、期間だけでなく、無償対応の範囲、再送時の送料、再修理の回数制限を確認しましょう。
配送会社の補償上限を確認する
宅配修理を利用する場合は、配送中の補償も重要です。
一般的な宅配サービスでは、荷物一個あたりの損害賠償額に上限が設けられています。
日本郵便の通常のゆうパックには30万円までの損害賠償制度があり、セキュリティサービスを付けた場合でも、申し出られる損害要償額は50万円までと案内されています。
所有する高級時計の時価が50万円や100万円を超えている場合、一般的な運送補償だけでは実勢価格をカバーできない可能性があります。
たとえば、時価200万円の時計を通常のゆうパックで送り、補償対象となる紛失事故が発生しても、通常の補償上限は30万円です。
セキュリティサービスを利用しても上限は50万円となるため、時計の時価との差額までは補償されません。
専門店独自の動産総合保険も確認する
高額時計を扱う一部の時計修理専門店では、配送会社の補償とは別に、独自の動産総合保険へ加入しています。
店舗によっては、配送中の紛失や破損に対して、最大500万円から5,000万円程度まで補償できる体制を整えている例があります。
ただし、「最大5,000万円」と書かれていても、すべての時計が自動的に5,000万円まで補償されるとは限りません。
時計の申告額、時価、発送方法、事故の内容、保険契約の免責事項によって、実際の補償額は変わります。
また、専門店が手配した梱包キットや配送方法を使った場合だけ保険が適用され、利用者が自己判断で発送した場合は補償対象外となることもあります。
配送補償の比較
| 配送補償の例 | 補償上限の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常のゆうパック | 30万円 | 時計の時価が上限を超える場合がある |
| セキュリティサービス付きゆうパック | 50万円 | 申告額と実損額の範囲内で補償 |
| 専門店独自の動産総合保険 | 500万円~5,000万円の例 | 店舗、契約、発送条件によって異なる |
配送保険ありだけでは不十分
次の内容まで確認しましょう。
- 配送補償の上限額
- 補償対象となる事故
- 発送時と返送時の両方が対象か
- 時計の時価をどのように証明するか
- 指定の梱包方法や配送方法があるか
高額時計を宅配で送る場合は、修理店へ次の点を確認すると安心です。
発送時と返送時の両方に保険が適用されるか、補償上限はいくらか、時計の時価はどの資料で判断されるか、紛失や破損時の連絡窓口はどこか、専用の発送伝票や梱包キットを使う必要があるかという点です。
発送前に時計の状態を記録する
発送前には、時計の正面、裏蓋、側面、ブレスレット、バックル、付属品を写真で記録しておくと安心です。
細かな傷や打痕も撮影しておけば、返却後に外装状態を確認しやすくなります。
撮影日はスマートフォンの記録に残しておきましょう。
型番やシリアル番号も控え、依頼品以外の箱や保証書は、必要と案内された場合を除いて送らない方がよいでしょう。
純正箱は時計本体とは別に価値があり、配送中に傷む可能性があります。
発送するブレスレットのコマ数や、革ベルト、尾錠の状態も記録しておくと安心です。
高額時計では、購入時の領収書、保証書、直近の査定書など、時価や所有を示せる資料を保管しておきましょう。
実際に事故が起きた際、補償額を確認する資料として求められる可能性があります。
梱包では時計を動かさない
梱包では、時計が箱の中で動かないように固定し、リューズやプッシュボタンへ直接力がかからないようにします。
時計を柔らかい布や緩衝材で包み、さらに丈夫な箱へ入れます。
箱と時計の間に隙間がある場合は、緩衝材を詰めて動かないようにしましょう。
ブレスレットがケース裏へ接触すると、配送中の振動で傷が付く可能性があります。
ケースとブレスレットの間にも柔らかい保護材を挟むと安心です。
修理店から専用の梱包キットが提供される場合は、その手順に従ってください。
自己流で梱包するより、時計のサイズに合わせた専用キットを使った方が安全性を高めやすいです。
時計オーバーホール費用のよくある質問(FAQ)
Q1. 時計のオーバーホール料金はいくらですか?
A. 一般的な目安として、クォーツ式は約1万円から2万5,000円、機械式3針は約2万円から5万円、クロノグラフは約3万円から8万円程度です。
ただし、正規メーカー、自社製ムーブメント、高防水モデル、交換部品の多い時計では、10万円以上になることがあります。
ロレックスの一部モデルでは8万2,500円から、オメガの機械式クロノグラフでは16万5,000円からとなる料金例もあります。
ウェブサイト上の金額は基本料金である場合が多いため、部品代、研磨、送料などを含めた総額を確認しましょう。
正確な料金は型番と時計の状態によって異なるため、実物を点検した正式見積もりをご確認ください。
Q2. 見積もりより料金が高くなることはありますか?
A. 正式な見積もりへ同意した後に、無断で料金が上がることは通常ありません。
ただし、ウェブサイトの料金表や問い合わせ時の回答は概算であり、点検後にゼンマイ、歯車、リューズ、風防などの交換費用が追加されることがあります。
作業開始後に新たな不具合が見つかる可能性もあるため、追加修理が必要になった場合は、作業前に連絡をもらえるか確認してください。
Q3. 正規メーカーと修理専門店はどちらが安いですか?
A. 一般的には、民間の時計修理専門店の方が基本料金を抑えられる傾向があります。
ただし、正規メーカーでは純正部品、防水部品交換、外装仕上げなどが料金に含まれる場合があります。
専門店では基本料金が安くても、研磨や交換部品が別料金になっていることがあります。
金額だけでなく、作業内容、使用部品、保証、防水検査、研磨の有無をそろえて比較しましょう。
Q4. 動いている時計にもオーバーホールは必要ですか?
A. 正常に動いているように見えても、内部の潤滑油が劣化し、部品の摩耗が進んでいる可能性があります。
ただし、すべての時計を一律の年数で整備する必要があるとは限りません。
メーカーの推奨時期、使用頻度、保管環境、精度、巻き上げ感、防水性を踏まえて判断してください。
急な日差の悪化、駆動時間の短縮、異音、リューズの重さ、風防内の曇りがある場合は、推奨時期を待たずに専門家へ相談しましょう。
Q5. オーバーホールを安く済ませる方法はありますか?
A. 正規メーカーと実績のある時計修理専門店から見積もりを取り、基本料金、部品代、研磨、送料、保証を比較する方法があります。
外装研磨が不要であれば、研磨なしを選べる専門店へ相談することで費用を抑えられる場合があります。
ただし、機能維持に必要な部品交換や防水部品まで省くのはおすすめできません。
極端に安い業者へ依頼すると、必要な設備がない、適切な部品が使われない、修理後保証がないといったリスクがあります。
価格だけでなく、技術者、設備、実績、説明のわかりやすさも確認してください。
まとめ:費用を比較して依頼先を選ぶ
最後は総額と作業内容で判断する
時計オーバーホールの費用は、ブランド名だけで決まるものではありません。
クォーツか機械式か、3針かクロノグラフか、自社製ムーブメントか、高防水モデルかによって、必要な作業と料金が変わります。
さらに、時計の内部で摩耗や錆が見つかれば、部品交換費用も加わります。
同じモデルでも、時計の状態によって見積もりが異なるのはこのためです。
依頼先を決める前の最終確認
最も大切なのは、料金表に書かれた最低価格ではなく、実際に何をしてもらえる見積もりなのかを確認することです。
- 基本料金に含まれる作業を確認する
- 交換部品と交換理由を確認する
- 研磨を希望するか事前に伝える
- キャンセル料と返送料を確認する
- 修理後保証と配送補償を確認する
純正状態、メーカーの修理記録、特殊なムーブメントへの対応を重視するなら、正規メーカーが有力です。
費用を抑えながら内部機構を整備したい方や、研磨と部品交換について相談したい方は、実績のある時計修理専門店も比較対象になります。
並行輸入品や中古時計では、正規メーカーの受付条件や料金区分も確認してください。
民間修理店へ依頼する場合も、部品供給や対応実績を事前に聞いておきましょう。
宅配修理を利用する場合は、時計の時価と配送補償の上限も比較してください。
50万円を超える時計では、通常の宅配補償だけでは不足する可能性があります。
修理店独自の動産総合保険がある場合も、上限額と適用条件を確認しましょう。
あなたが守りたいのは、時計の見た目でしょうか。
それとも純正状態、資産価値、日常で使える精度でしょうか。
細かな傷を残してでもオリジナルの外装を守りたい方と、外装をきれいに仕上げて気持ちよく使いたい方では、希望する整備内容が違います。
正解は一つではありません。
自分の優先順位を依頼先へきちんと伝えることが、納得できるオーバーホールにつながります。
正規メーカーと専門店を比較する
迷ったときは、正規メーカーと時計修理専門店の両方で見積もり条件を確認し、総額と作業内容を並べて比較しましょう。
シエンでは、高級時計のオーバーホールや修理について、時計の状態を確認したうえで見積もりを相談できます。
見積もりを確認したからといって、金額だけで即決する必要はありません。
交換部品の理由、外装研磨の有無、修理後保証まで確認し、自分の希望と合うかを判断してください。
最後に確認してください
掲載している費用は、あくまで一般的な目安です。
料金、受付条件、納期、キャンセル料、保証内容は変更される可能性があるため、正確な情報は各ブランドや修理店の公式サイトをご確認ください。
高額な部品交換、ヴィンテージ時計の修復、資産価値に関わる研磨については、見積もり内容を十分に確認し、最終的な判断をメーカーや時計修理の専門家へ相談することをおすすめします。
オーバーホールは決して安い買い物ではありません。
それでも、適切な時期に信頼できる技術者へ依頼できれば、大切な時計を長く使い続けるための意味ある費用になりますよ。